【記事を書いた人】
カウンセリングオフィス トリフォリ 高澤信也 福岡で子育てと生きづらさ克服をお手伝いしています。公認心理師。 |
子育ての悩み「ついカッとなって怒鳴ってしまう。やめたいのに怒りを止めることができない」
タイトルの悩みは子育てする親御さんからもっとも聞くことの多い訴えです。
子どもという生き物は欲求と感情で動く存在。思い通りになんてなりませんし、突拍子もないことやったりしますから、そりゃあイライラもなりますよね。心中お察しします。
余談ですが、私は自称「息子が大好きな父親世界大会」なんてものがあれば金メダルが絶対に取れる!と確信しているくらいわが子大好きおじさんです。
だがしかし、これまでの子育てにおいては呼吸と同じくらいの頻度(汗)でイライラしてまいりました。
子育て中のイライラ。時には怒鳴るほどの場に合わない強い怒り。この怒りを消すにはどうしたらいいでしょうか?
正解は
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*怒りは消さなくていい!
もしかして意味不明でしょうか。
では一緒に整理してまいりましょう。
何に腹が立ちますか?
子どもは何かとやらかします。
たとえばわが家の例だと、部屋を散らかしっぱなしだとか、宿題しないとか、忘れ物したとか、約束破ったとか、ジュースこぼしたとか、嘘ついたとか、友だちにケガさせたとか、そのほか色々。
出来事は様々ですが、子どもが小学校くらいまでの年齢であれば、この辺りはあるあるではないかと思います。
●Q1)あなたは子どものどんな行動やありように腹が立ちますか?
ちなみにわが家では両親揃って「自分のやるべきこと(役割と責任)をしなかったとき」にはそれなりに叱ります。
どの程度腹が立ちますか?
ちなみにさっきのわが家の件であれば、怒りのバロメーターは10点満点中の概ね4点弱くらいかと思います。
他のことでイライラがあると、若干八つ当たり(息子よスマン)的になって6点くらいまで上がることはありますが、それ以上に上がって爆発レベル…にまで至ることはありません
●Q2)あなたのその時の怒りのバロメータは10点中の何点ですか?
子どもの行動に対して怒りのバロメーターの方が高い、つまり場にそぐわないレベルの強さなら、それは「今、ここ」のわが子に対する怒りではないかもしれません。
どんな行動を取りますか?
うちの例で言えば、自分の役割(たとえばゴミ出し)を「したくないけん、せん!」なんて言って逃げようとすると、とうちゃんこと私が言葉でThe説教をいたします。
しかしもし場に合っていない強い怒りであれば、きっと大声で怒鳴ったり、ものを投げつけたり、さらに高ぶれば叩いたり、、、なんてことに至る可能性を否定できません。
だからこそ人は「怒りをどうにかしたい」と願うのでしょう。
●Q3)あなたは子どもに腹が立ってどんな行動を取りますか?
怒りのレベルもその場での行動も状況に合っているのであれば、そもそもそれは問題ではないでしょうね。
一方で子どもの言ったことやしたことに対する反応が場にあっていない強さであれば、それは怒りとは別のシステムが起動しています。
怒りのレベルと行動の関係性
怒りと混同されやすい感情に次の3つがあります。
①嫌悪
これは自分の境界線(見えない領域)内に入られた時に感じる感情です。嫌悪が強いのなら、子どもに自分の時間や空間、気分、価値観といったものを「邪魔された」って気がしているのではありませんか?
②恥
これは自己批判によって感じる感情です。もし恥が強いのなら、他者(ここでは子ども)に下に見られている、バカにされている、粗末にされている、、、なんて気がしてはいないでしょうか?
③恐れ
自分の心身を脅かされた時に感じる感情です。もし恐れが強いのなら、子どものその行為(大きな泣き声、表情、特定のセリフ、特定の状態を招く行動)が引き金となり、瞬間的に神経が覚醒して【闘うか逃げるか】モードにシフトしているのではないでしょうか。
(別名、地雷が爆発した状態)
怒りに似た感情への対処法
①嫌悪
嫌悪の強さは、自分の領域内に「侵入された」と感じやすい傾向とも言えます。国境警備隊のような生き方と言っていいかもしれません。
しかし自分にも領分があるように、相手(子ども)にも領分があります。「侵した」「侵された」という軸では常に戦争状態に陥ってしまいます。
親と子のお互いが心地よく過ごせる領域を見直すことをおすすめします。
キーワードは
*バウンダリー
です。
②恥
これは自尊感情(自己肯定感)に関連する課題です。
ここが強い方に必要なことは
*「不完全な自分を不完全のままに愛するために、私がなすべきことはなんだろう?」
という自問自答。
そしてその問いから導き出された行動の実践です。
キーワードは
*自己慈悲(セルフコンパッション)
です。理想通りではない自分を慈しむにはどうすればいいか。それが取り組み課題です。
③恐れ
場に合わない過剰反応であれば、それはトラウマ反応かもしれません。たとえば息子が小さい頃に私は一度ブチ切れたことがあります。大声で怒鳴り、ゴミ箱を蹴飛ばしました。
妻が間に入って息子を全力で守ってくれたお陰で事なきを得ましたが、あの時妻がいなかったらきっと手が出ていたと思います。
では私は何にそんなに反応したのか?
それは冷たく鋭い「睨み付ける目」でした。
後々自分の内側を探索してわかったことは、その目が私の恐怖スイッチを押し、一気に神経が覚醒し、内側が瞬間的に「闘うか逃げるかモード」に切り替わっていたということ。
その起爆装置は、子どもだった頃に鬼のような顔で睨み付ける父の目の記憶でした。そしてそれは暴力が始まる5秒前のサインでもあったものです。
こういった場に合わない過剰反応は、大抵の場合はトラウマ反応です。ここが強い方は専門家の手を借りてトラウマケアに取り組みことを強くお勧めします。
まとめ
冒頭でお伝えした
*怒りは消さなくていい!
なぜ消さなくていいかというと、ほとんどの場合それは怒りではないから、、、というオチでした。
怒りは消さなくていいですが、嫌悪、恥、恐れであれば、それに取り組むことで自分を楽にすることができます。
その結果は言わずもがなで
*わが子に穏やかに接することができる
という結末を引き寄せることができますよ。
結局のところ子育てをより良くしたいなら、一点集中して自分をより良くすればOKなのです。
より良い子育てをしたい!
そのために自分育てに取り組みたい!
そういった方はお試しカウンセリングにお越しくださいね。お会いできることを心待ちにしております。