「なんで私ばっかり」「どうしてこんな目に」「誰もわかってくれない」「ひどい」
「なんてあわれな私…」
こんな思いに駆られるたびに苦しみを伴った悲しみを感じることが度々ありますか?
これを自己憐憫(れんびん)と呼びます。
自己憐憫の副作用
逆境的な環境のなかで苦しいとき、人は先のような思いを抱えることがあります。一時的にそういった状態になることは誰にでもあります。
しかしそれが、嫌なことや自分の思うようにいかないことが起こるたびに不幸な自分を嘆くといったことを何度も繰り返しているうちに、「それなしではいられない状態」に陥ることがあります。
それが予期していなかった結末を生みます。無力感、恨み、希望が絶たれた感覚、自尊感情の低下といった自分を苦しめるいろんな副作用をもたらすのです。
自己憐憫は偽物
自己憐憫は悲しみに非常に似ていますから、自分をあわれみ、涙を流すことでスッキリ感が瞬間的には得られます。
しかしそれは「偽物の悲しみ」。そこにハマるとアルコールやギャンブルと同じように抜け出せない「酔い」を生みます。
その”瞬間的なスッキリ感”を得ることの代償がさっきお伝えした様々な副作用。失うもののほうがあまりに大きすぎます。
方向を自滅から自助へ
自己憐憫を使って自分をあわれむほど「私は無力」が強まるだけ。
それよりも「つらかったね」「たいへんだったね」と自分の痛みに共感してあげましょう。
その共感が「自分を助けてあげたい!」というエネルギーを生み出してくれます。
問題解決のファーストステップは「現状認識」です。
いま自分は結局何がどうなっているの?を客観的に理解することです。
自己憐憫という偽物を自分への共感という本物にシフトさせるために、まずは自己憐憫という酔いへの自分のハマりやすさをチェックしてみませんか?
これも自分と向き合うステップですから楽ではないかもしれませんが、それでもとても大切なことです。
向き合った先にあるものは「かわいそうな私」を卒業した「よくがんばった私」。
いやでも助けてあげたくなる存在です。
「見たくないけどちゃんと自分を見てみよう!」
そう思った方は次のチェックリストをやってみてはいかがでしょうか。
健闘を祈ります!
自己憐憫傾向チェックリスト
□ なぜ自分ばかりがこんな目にあうのかと思う
□ 「~ならばよかったのに」と繰り返し考える
□ 自分は何をやってもうまくいかないと思う
□ 自分は誰かの犠牲になっていると感じる
□ 自分の不幸は特別なもので、誰も理解してくれないと思う
□ 親しくなったと感じても、結局は裏切られることが多いと思う
□ 周囲から見捨てられた気がする
□ 怒りや恨みを表現せずにためこんでいる
□ 他人の幸せを素直に喜べない
□ 自分は精一杯やっている、自分こそが正しいと思う
□ 助けを求めるのが苦手である
□ 相手が自分をすべて理解し受け入れてくれないなら、何もしてくれないのと同じだと思う
□ 誰かの助言をもらうと、それがうまくいかない理由をたくさん考えつく
□ 助けは要らないと断るが、本当に助けてくれないと恨みに思う
□ 誰かが自分をここから救いだしてくれたら、と願っている
□ 自分の存在には価値がないのではないかという不安がある
□ 持っているものに感謝するより、持っていないものを嘆いている
(ASK選書15『「自己れんびん」というもう一つの酔い』より抜粋)