カウンセリングのその前に
【記事を書いた人】
カウンセリングオフィス トリフォリ 高澤信也 福岡で子育てと生きづらさ克服をお手伝いしています。公認心理師。 |
こんにちは。高澤です。
今日はカウンセリング利用の前に押さえておくべきポイントのお話です。
相談したい vs でも不安
人に自分の内側をさらして相談するのはとても勇気が必要ですよね。
今でこそ支援者やっておりますが、私もかつてはクライエント(相談者)。人間不信が尋常じゃないほど強かった昔の私は、相談を決意するまでにはそれこそ「清水の舞台から飛び降りる」くらいの覚悟がいりました。
「たかがそれくらいでとバカにされるかもしれない」
「甘えているなんて怒られるかもしれない」
「ひどいことを言われたらどうしよう」
そんな心配があってゲーしそう(汗)になったことは一度や二度ではありません。
そこを乗り越えるためには一にも二にも
●不安解消(安心獲得)
が必須ではないでしょうか。
そこで今回は、カウンセリングというものを受けるその前に知っておくと役立つと思われることをお伝えします。
何のためのカウンセリング?
カウンセリングを利用するにはそれなりの目的が必ずあるはずです。
何のためのカウンセリング利用か?
ここを明確にすればするほど、実際の相談時には方向性がブレることなく進んでいきますよ。
そのときに決して外していけない視点は
★それは変えられるものか?変えられないものか?
私たち人間は
①変えられるものは変えていく
②変えられないものは受け入れる
以外の手立てを持っていません。
しかし実際の相談の場では
●変えられないものを変える
が目的にになっている方は決して少なくないんです。
「子どもに言うことを聞かせたい」
「夫にもっと優しくなってもらいたい」
「親に過去の所業を謝ってほしい」
変えたい気持ちは痛いほどわかります。支援者となった今でも、時折その欲求はむくっと顔を出してくることがありますから。
だけどこれらはいずれも「変えられないもの」。
私たちに変えられるのは自分だけ。
どれだけ他者が誤っているように思えても、それでも変えることはできないのです。
何のためのカウンセリング?
それは人を変えるためではなく、自分を変えていくため。
まずはここを押さえておくことは大切です。
ではここでちょっと質問です。
「あなたがカウンセリングを受ける目的は何ですか?
カウンセリングを通じて何がどうなればOKですか?」
目的達成に役立つ手段は何?
先の質問でカウンセリングの目的ははっきりしたでしょうか。
具体化したら、次にその目的達成に役立つ手段を検討してみましょうか。
たとえばナギさんという女性がいるとします。彼女の困りごとは
「人のなかにいるだけで警戒してしまう。だからいつも緊張してクタクタ。家に帰るとぐったり。仕事以外で外の出るのがつらい」
だとします。
ナギさんがカウンセリングを受ける目的は
「緊張が緩んで人のなかに今より楽にいられるようになること」
だとしましょうか。
この目的を達成することに役立つものに何があるでしょうか?
身体の緊張を和らげることができる手段はカウンセリングやセラピー以外にもありますよね。
たとえばストレッチ、ヨガ、呼吸法、瞑想、信頼できる仲間と過ごす、医療機関、武道などなど。
ちなみにナギさんみたいな訴えは結構あるあるなのですが、トリフォリではヨガの併用を前のめり(汗)でお勧めしています。
呼吸を整え、身体の緊張を緩め、そして「今、ここ」に注意を向け続ける。ヨガはとても有用です。
過去にはカウンセリングを使わず、ヨガスクールの利用を優先するようお勧めしたこともありましたが、それがとても助けになったと言っていただきました。(ホッとしました~)
ではここでも質問をひとつ。
「あなたが達成したい目的に役立つ手段にはどんなものがありますか?」
「その中で、より負担が少なく、有用で、あなたに合ったものはどれでしょうか?」
(追伸、それがカウンセリングであれば私たちはありがたい限りです^^)
誰と仲間になる?
もし目的達成の手段としてカウンセリングが有用だったとします。
すると次に必要な視点は
*どこ(誰)の支援を受けるか?
カウンセリングに限らず、人間関係には「相性」がつきものです。
つまり
「何をするか」
よりも
「誰とするか」
が重要だということです。
ではどうやって相性の良い相手を見つけるか。難問ですね。
これは「会ってみないとわからない」が正解ではなかろうかと思います。
まずは自分がカウンセリングを通じて果たしたい目的を果たせる支援機関(者)のいくつかにあたりを付けることができたら、そのあとは片っ端からメールで質問したり、お試しカウンセリングやっていればそれを受けてみたりしながら、「この人だったらいいかも」という人を見つけることをやってみる。
遠回りのようかもしれませんが、これが必要ではないかと思います。
だって、やり取りしたこともなければ会ったこともない人と「相性が合う!」かどうかはわかりようがないですものね。
但し、避けておいた方がと思える支援機関(者)はいます。
①指摘ではなく批判やダメ出しをしてくる人
②自分の課題を肩代わりする人
上記の①は父性が「過ぎる」ひと。
②は母性が「過ぎる」ひと。
過剰ではなくほどほどがよろしいかと思います。
それは誰の責任?
一般的にはあまり知られていませんが、カウンセリングにおいては
・カウンセラーが負うべき責任
・クライエントが負うべき責任
の双方があります。
わかりやすいところでいえば、
クライエントに「自分の助け方」を伝えてサポートするのはカウンセラーの責任。
自分助けに取り組むのはクライエントの責任。
双方が責任を果たして初めてカウンセリングは機能します。
したがって
●クライエントが担うべき責任をカウンセラーが肩代わりしている
●クライエント自身が担うべき責任をカウンセラーに委ねている
という状態があれば、それは、、、
支援関係ではなく
(共)依存関係
その関係のままでは達成したい目的を果たすことは困難です。
双方が双方の責任を担うこと。
これはとても大切な責任分担になります。
さいごに
ここまでお読みいただきありがとうございます。
カウンセリングは昔ほど敷居が高くはなく、ネットの普及によって探しやすいというメリットをもたらしてくれました。カウンセラーとしてはありがたい限りです。
ただその一方で、敷居の低下と選択肢の多さは、選択の難しさにつながっているようにも感じています。
したがって、手間暇はかかるかもしれませんが、自分の苦しみを解決するという一大事業に取り組むときには、いろんな支援機関(者)に率直に質問メールを送ったり、お試し相談を利用したりしながら、「この人とやっていきたい」という支援者(仲間)との出会いを模索なさることをお勧めしたいです。
そのとき決してカウンセリングにとらわれることなく、自分にとって最大の助けになるリソース(資源)を見つけてくださいね。
どうかあなたに良き出会いがもたらされますように。