こんにちは。アダルトチルドレン支援の心理カウンセラー高澤です。
突然ですが、いまあなたには何か悩みがありますか?
人の悩みは尽きないと言われるように、人は誰しも悩むことがありますが、そもそも悩みとはなんでしょうか。
それは次のような仕組みで表すことができます。
悩みの構造
◯欲求
↑
|ギャップ=悩み(苦しみ・問題)
↓
◯現実
現実と欲求のギャップとはたとえば、
・現実:子どもが家のことを何もしない
→欲求:本当は「やってほしい」と言いたい
・現実:上司から不当な叱責を受けたが謝罪した
→欲求:本当は「ノー」を言いたい
・現実:イライラしてしんどいが隠して元気なフリ
→欲求:本当は無理して笑いたくない
つまり悩みとは、
- したいことができずにいる
あるいは
- したくないことを無理してやっている
状態と言っていいかもしれません。
ここで言っている欲求とは、物欲や権力欲、達成感などの「獲得」を目指すものではなく、もっとシンプルに人間関係における安心安全にまつわるものです。
頭ではわかっているけど・・・
したいことをしていない、または、したくないことをして苦しいんだったら、したいことをすればいいし、したくないことはやめればいい。
それで悩みは解決できるはずなんです。
しかしそうできないからこそのならないのが世の常ではないでしょうか。
それってなぜでしょうか。
それは、したいことをする、あるいはしたくないことをやめることを妨げる障害物があるからです。
障害物の正体の大半は・・・“恐れ”
何かが怖いから、したいことをしなかったり、したくないことを無理してやったり・・・を手放せないということです。
ということで、まず自分がどんな恐れに欲求を妨げられているのかを知ることが必要です。
欲求を妨げている恐れの正体
欲求の妨げになっているもの、言い換えると対人関係にまつわる脅威になっているものとして、次のようなものがよくあげられます。
・攻撃(怒りを向けられること)が怖い
・批判が怖い
・拒絶される(嫌われる)のが怖い
・孤立するのが怖い
・見下されること(辱め)が怖い
たとえば子育て中のハナコさん(仮名)の苦悩。
ママ友から事あるごとに人の愚痴を聞かされるのがしんどくてたまらないから、本当は「人の悪口を聞きたくない」「やめてほしい」と言いたい!めっちゃ言いたい!
↓
だけどそれを言ってしまうと、きっと相手から「責められて」「嫌われて」「仲間外れにされて」ってなりそうな気がしてしょうがない。そうなる気しかしない。
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そう思うとゾッとするほど怖くなる。
↓
だから言いたいけど言うのをやめる。
↓
ママ友の愚痴が止まればいいけど言ってないので止まらない。
↓
やめたいのにやめられない悪循環はつづいていく・・・。
こんな感じです。
上で書いた怖いものはあなたにもあったでしょうか。
書いたもの以外にも「怖い」があったでしょうか。
恐れと向き合う
恐れは(恥も)人の行動を退却に向かわせますので、そのままで「したいことをする」とか「したくないことをやめる」という一歩を踏み出すのは容易ではありません。
それは誰にとっても同じです。
ということで、まずは「怖い」を緩めることが先決です。
そのために役立つのは【身体の緊張を緩めること】
「怖い!」とは、脳が神経を昂らせて、脅威から逃げて安全を取り戻すための行動を起こせるようにしている状態です。
たとえば、急に自転車が突っ込んできたとか、窓の外に熊がいたとか、そんなときに起こる身体の反応です。
しかし、私たちが他者に対して何かを怖がっているとき、その恐れのほとんどは想像によって作り出されたものです。
人に大声で責められたから「怖い」のではなく、大声で責められることを「想像」して怖くなっている、なんてことが大半です。
(実際に大声で怒鳴られて怖いのは自然な反応ですので)
いま目の前に脅威が存在しないのであれば、ある意味そこは安全と言えます。
ということは
・「安全な場」で
・「危険な場にいる時の反応」が出ている
ということになります。
であれば、安全な場にいる時の身体の反応を意図的に作り出せば、心に安心安全が戻ってくる、ということになります。
ということで、「怖い!」を緩めるために私がオススメしたい練習は以下の流れです。
①「怖い」を感じていることに気づく
②身体に意識を向けて筋肉や呼吸や皮膚や内臓の様子を観察する
③観察できたら身体の力を抜く(筋肉の緊張を緩める)
④それとともに深くゆっくりした呼吸をする
子どもの頃から「怖い」に支配されつづけていた私でしたが、これのお陰で「怖い」は大きく緩みました。有り難しです。
これに加えて、寝る前5分とかに身体の緊張を緩めて、深く呼吸をする練習を続けていくと、過度な「怖い」が出にくくもなっていきます。言わば予防ですね。
さらに、自分を怖がらせる思考やイメージを「事実」と見ない練習を加えていくと、徐々に「こころの平安」は増していくでしょう。
流行りのマインドフルネスあたりがこの練習には役に立ちますよ。
変えられるものと変えられないもの
「過去と他人は変えられない」なんて言葉があるように、私たちが怖さを感じる対象がこの世からなくなることはありません。
怒りを向けられることも
批判されることも
拒絶されることも
疎外されることも
下に見られることも
生きていれば起こりうることばかりです。
それをなくそうと努力するほど徒労に終わり、生きづらさはかえって増していきます。
一方で、私たちに変えられるものもあります。
生命や身体の危険が「今、ここ」にあれば「闘うか逃げるか」以外の選択肢はありませんが、恐れの対象が現実ではなく想像であれば、私たちは身体が訴えている「怖い!」を緩めて(なだめて)あげることができます。
先に述べた練習もそのひとつです。
恐れに向き合うには勇気が必要ですが、変えられないものを受けいれ、変えられるものを変えていくことで、私たちは心の平安を得ることができます。
あなたにもそれが得られることを心から願っています。