毒親卒業トレーニングブログ運営人&アダルトチルドレン支援カウンセラー高澤です。
みなさんは「マインドフルネス」というものをご存じですか?
近年大流行りのセルフヘルプの技法で、書籍もたくさん出ております。
先日はテレビで何十分も特集されていました。
結構なブーム状態ですね。
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは「今、ここ」に心が留まっている状態です。
心には穏やかさが訪れ、今ここで感じていること・思考していることに気づいたまま、今ここで為すべきことに集中できている状態とも言えます。
マインドフルネスの反対が「マインドレス」。
意識があちこちにとっ散らかって「心ここにあらず」状態です。
私たち人間が悩んでいるとき、たいていは「今、ここ」にある現在・現実に意識を留めることができていません。
たとえば
⚫︎「嫌だと言い返せばよかった」「なぜあいつはあんな酷いことを言ったんだ」などと過ぎ去った過去を悔いては思い悩んだり
⚫︎「嫌われたらどうしよう」「酷い目に遭ったらどうしよう」などとまだ訪れていない未来を恐れては思い悩んだり
⚫︎「悪く思われているんじゃないか」「きっと馬鹿にしてる」などと人の頭の中を“悪い方に”読み取っては思い悩んだり
いずれも「今、ここ」から離れています。
それだけでなく、先の3つはいずれも私たちには変えられないもの。
それを変えようと頭の中で思い悩めば悩むほど脳は興奮状態。
そして感情的にも身体的にもしんどくなっていくわけです。
これがマインドレス状態です。
だったら自分に変えられるものって何?
それが「今、ここ」と「自分」です。
マインドフルネスとはそこにいる状態であり、マインドフルネス・エクササイズとは「今、ここ」にいることができる自分に近づいていくための練習になります。
マインドフルネス・エクササイズの概要
マインドフルネス状態であろうとするには、日々の練習が必要です。
結構地道なプロセスにはなりますが、つづけていけば効果は結構なものです。
ここでは練習の流れを超ザックリとお伝えします。
①練習をするための落ち着きやすい空間や時間をつくる。
↓
②「今、ここ」で為している呼吸に意識を向け続ける。
(意識を向ける「今、ここ」の対象は、呼吸する時の空気に出入りが基本と言われることが多いです。そのほかにも呼吸時のお腹の膨らみ・へこみの感覚とか、歩いている時に足裏が地面に接地した感覚などに意識を向ける、などなどいろいろバリエーションがあります)
↓
③意識を向け続けようとしても、たびたび意識がほかに逸れる。特に「思考」や「外界の刺激」に。逸れていることに気づいたら、「今、ここ」に意識を戻す(=上記①に戻る)。
↓
④これを日々練習する。
私も長いこと練習を続けていますが、お陰さまで心穏やかな状態(=今、ここ)への留まりやすさが容易になってきています。
ふだんから頭でいろいろと考えすぎて思い悩みがちな方には特にマインドフルネスは効果が高いのではないかと思います。
マインドフルネスに関しては書籍やネットなどあふれるほど情報がありますので、ご興味あるかたはリサーチしてみられると良いかと思います。
マインドフルネスは万能?
世界に名だたる有名企業が組織をあげて取り組んでいると話題にもなっているマインドフルネス。
先日のテレビ番組でもマインドフルネスの特集があり、そこではインドの大聖人の方がエクササイズを指導する様子も紹介されていました。
こういった数多くの絶賛ありきの情報に触れると、まるでマインドフルネスはメンタルヘルスの万能策ではないかと感じるほどです。
でも、人は画一化できない存在です。
万能策なんてものは無いのではないかと思うのです。
特に次のような方には、タイミング次第ではマインドフルネス・エクササイズが苦を強めることだって起こりえます。
低覚醒
クライアントさんの中には
⚫︎「感情が感じにくい」
⚫︎「欲求がわかない」
⚫︎「頭がぼんやりしてうまく働かない」
⚫︎「いつも重だるい感じがしてしんどい」
といった状態で困っている方もそれなりにおられます。
これは脳(神経)の覚醒度が下がっている低覚醒状態です。
身体の反応でいうと「冬眠」に近づいていっている状態に近いかと思います。
低覚醒状態で「今ここ」に意識を向け続けること自体そもそも困難です。
仮にそれができたとしても、マインドフルネスは自分を落ち着けていくための練習という側面がありますので、覚醒が下がっている方の覚醒をさらに下げかねません。
それではかえって本人の困難が強まるリスクがあります。
したがって低覚醒状態に留まりがちな方にとってはマインドフルネスより他の練習が有用だと思います。
たとえば「小さくてほのかな“いい感じ”」を感じる練習など。
「感じるのが怖い」
また別の訴えとしてあるものが、「自分の内側を感じるのが怖い」「感じるとパニックみたいになってしまう」というもの。
幼少期に逆境体験にさらされ、トラウマを抱えているACの方の中には、あまりにも強い感情、たとえば恐怖、不安、怒り、恥、悲しみ、寂しさに晒されていたものの、それをなだめるべき養育者になだめてもらえなかった方は決して少なくありません。
その結果、自分で自分をなだめてあげることができないままです。
そして
⚫︎感じることを恐れる
⚫︎感じることに圧倒される
という傾向をもつに至ることは容易に想像できます。
しかしそのままでは生きていけませんから、子どもなりの対処を試みます。
その一つが
「感じない自分になる」
という対処法です。
自分の内側(身体の反応、感情)を感じないで済むことにエネルギーを使って生き延びてきたとも言えます。
一方マインドフルネスとは「自分の内側」に意識を向ける行為。
「感じない努力」によって生き延びてきた方が「自分の内側の反応」に目を向ける行為は、楽にするどころか場合によっては自分を恐れさせ、圧倒させてしまうかもしれません。
こういったケースに対しても、何のお膳立てもない状態でマインドフルネスに取り組むことは望ましくないと感じています。
マインドフルネスに「自分助け」の方法を選ぶ
人の困りごとは千差万別。
そもそも人自体が十人十色。
*その人にとって
*その時の状態(回復度合い)によって
選ぶべき自分助けの方法は変わって然るべきなはずです。
先に書いたマインドフルネスが有効ではないと感じる2つのケースも、その人次第では、あるいはタイミング次第では、役に立つことだってきっとあると思います。
そういった観点から見ても
「自分をどうにか助けてあげたい!」
といった方にお勧めしたいのは、、、
⚫︎「どんな方法が良いか?」といった選択の仕方ではなく
◎「『今、ここ』に在る私に必要なものは何か?」といった選択の仕方
この選び方こそ、まさにマインドフルネスではないかと思う次第です。
いろんな手立てを使って自分の内側を調整しながら
その調整の力が育ってきた後は人とつながりながら
どうかあなたの心に平安が訪れますように♣︎