ブログサイト〔毒親卒業トレーニング〕へようこそ
タイトルの「卒業」には
①毒親(機能不全家族)の負の影響から卒業
②毒親になる不安やそうなった後悔から卒業
という2つの意味を込めています。
このサイトが生きづらさ克服と子育ての両方に役立つことを願っています。
アダルトチルドレン回復&子育て支援の高澤です。
今日の写真は「渇ききった土地に咲く一輪の花」です。
お釈迦様さまは汚い泥の池の中に咲く蓮の花から生まれたという言い伝えがあります。なんて力強い命なんだろうと思います。この写真でそれを思い出しました。
誹謗中傷とACの生きづらさ
ところでここ最近のこと、テレビでもネットでも誹謗中傷の連鎖の記事を見ることが多くて悲しくなります。うちの息子はそれで傷ついた方の姿を見て泣いていました。
ある人がある人を責める。するとその責めた人をまた違う人が責めるという連鎖。どれだけ「正しさ」を後ろ盾にしようと、やっていることは紛れもなく戦争です。これで誰も救われません。誰も幸せになれません。
実はこの話は機能不全家族や毒親のもとに育ったアダルトチルドレン当事者の回復と無縁ではありません。
「苦を取り除く」は前提の誤り
人を誹謗中傷せずにはいられないなら、そこには苦悩耐性の問題が潜んでいるのでしょう。苦悩耐性とは苦しみに耐える力のこと。この力は生きる上で必須です。なぜなら、人生から苦を排除することは不可能だから。
お釈迦さまはおっしゃいました。四苦八苦はいかなる人間も決して取り除くことのできない普遍的な苦であると。
四苦八苦とは八つの苦しみのこと。
生きること。老いること。病むこと。死ぬこと。それが四苦。
加えて愛するものとはいつか離れねばならない愛別離苦という苦。嫌いな人とも会わねばならない怨憎会苦という苦。強く望んだとて全てが得られるわけではない求不得苦という苦。感覚が元気だといい感じだけでなく嫌な感じも多く感じてしまう五蘊盛苦という苦。この四つを加えて全部で八苦。
いずれも取り除けない苦しみです。つまり「変えられない」が前提なのです。
ただの「苦」が「苦悩」にまで膨らむとき
とは言えこの苦は生きている者全てが抱える苦。したがって万人が平等に感じる苦です。
例えて言えば、転んで膝をぶつけて青タンができたとき、多少痛みの感じ方の程度は違っても、神経が通っていればそれなりに「痛み」を感じます。したがってこの「痛みを感じること」自体は万人共通です。
にもかかわらず、ある者はその普遍的な苦を何十倍、何百倍と苦悩にまで膨らませます。これは膝の青タンの痛みをわざわざ麻酔なしで膝切断レベルの痛みにまで膨らませるようなものです。
普遍的な苦をひどい苦悩にまで膨らませる理由はたったひとつです。
それは
変えられないものを変えようとしている
四苦八苦は取り除けないにもかかわらず、それを取り除くこと、無くすことに囚われたとき、私たちの人生は間違いなく行き詰まります。
したがって人生に行き詰まりを感じているなら、それは「変えられないものを変えようとしている」とき。そこに執着している限り、人生は停滞し、苦しみに喘ぎ続けてしまうでしょう。
自分はACだと気づいた直後は多くの方が「自分は悪くなかった」「親のせいだった」だから「親が変わるべき」に囚われます。でもそれは問題ありません。むしろ一時的にここを通ることが役立ちます。
しかしここに囚われ続けて執着してしまえば、それはまさに「変えられないものを変えようとする」努力です。
同様に子ども時代の痛みをわが子からぶつけられ、「今更言われても」「私は懸命に育てた」わけだから「子どものあなたの問題(悪い)」と自分を振り返らない親も同じです。
お互いにやっていることは全く同じ。
「あなたが変わるべき」
だけどあなたが他者の言いなりになって変化しないことと同じように、他者もあなたの言いなりになって変化はしてくれないのです。残念ですが。。。
本当に自分を救いたいなら
テレビの誰かに腹を立てて誹謗中傷する人も、その誹謗中傷する人を誹謗中傷する人も、怨憎会苦と求不得苦を知らねばなりません。
同様に、期待通りでない子を嫌う親も、不完全で不十分な子育てをした親を憎む子も、普遍的な苦は取り除けないことに気づかねばなりません。
どれほど誰かを嫌悪しようと、そのとき自分がいかに正しく思えようと、それでも他者を思うように変えることなどできないこと。そして、人生において忌み嫌う人をゼロになんてできないこと。
それを受け入れることなしに「穏やかな人生」は決して訪れません。
この苦しみから抜け出すために必要なことはたったひとつ。
「変えられない他者」を変えたいという欲を手放す
「変えられないものは変えられない」という真理を受容し、そして「変えることのできる自分」を変えていく。そのために必要な力が苦悩耐性です。
苦悩耐性を育て、自分の心を柔軟にしてあげれば、誹謗中傷や攻撃といった心の戦争をやめることができます。苦悩から解放され、生きやすくなるカギは、ほかでもない自分の内側にのみ存在しています。
苦悩耐性を育てたいと願うなら、まず何よりも先に「自分の痛み」に気づいてあげましょう。「大したことない」「これくらい平気」とフリをしないでください。
痛みに気づいたら、その痛みに理解を示してあげてください。すごく痛かったんだと、すごく辛かったんだと、自分のために悲しんであげるのです。
その先にようやく苦悩体制の力は育っていきます。まるで写真の花みたいにね。
四苦八苦という変えがたいものに寄り添い、その苦と共に人生を生き抜いていく。変えられない他者は置いておき、変えられる自分を変えていく。言い方を変えれば「自分で自分を助けてあげる」。
その先にようやくAC当事者が恋焦がれた
*心の平安
が訪れるのではないかと思うのです。