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アダルトチルドレン(AC)専門の心理カウンセラー高澤信也 公式サイト

毒親育ちの影響・連鎖・切断|AC回復+子育てtips

毒親育ちの影響・連鎖・切断|AC回復+子育てtips

 

毒親卒業トレーニングブログ管理人/アダルトチャイルド支援カウンセラーの高澤です。

 

私は18年ほどカウンセラーを生業としておりますが、新参の頃は「これさえあればすべて解決!」なんて介入法(奇跡!?)を真剣に探すというトホホな時期がありました。

 

もちろんそんなものがあるはずもなく、支援に行き詰まるたびに必要なものを仕入れては現場でお返し…を繰り返しての現在です。

 

一進一退変化しながら必要なものを求める18年でしたが、たったひとつだけ最初からブレずに探し求めてきたものがあります。それは

 

ACE(Adverse Childhood Experiences:小児期の逆境的な体験)

が大きく影響した可能性が高い

世代間にわたって受け継がれる”有害なストレスのサイクル”を断ち切る方法

です。

 

子どもが逆境体験で苦しむ。

その人が親になる。

わが子に同じ苦しみを与えてしまう。

 

この悲しすぎる連鎖をどうやったら断ち切れるのか。

これをずっと探し求めてきました。

 

 

ACE(小児期の逆境的体験)とは

アメリカで行われてきた「小児期の逆境的な体験」(以下、ACEと記述)とその影響に関する研究があります。ACE研究といいます。

 

研究ではACEとみなされる体験を10のカテゴリーに分け、それを問う質問紙もつくられています。

 

以下がその10のカテゴリーです。

18歳の誕生日を迎える前までの次の体験の有無を問います。

 

①精神的虐待(周期的)

②身体的虐待(周期的)

③性的虐待(接触)

④身体的ネグレクト

⑤情緒的ネグレクト

⑥家庭内に薬物乱用者がいた(例:アルコールやドラッグの問題を抱える人間と暮らしていた)

⑦家庭内に心の悩みを抱えた人がいた(例:うつ病や精神疾患の患者、または自殺未遂を試みた人物と暮らしていた)

⑧母親に乱暴に扱われた

⑨親が離婚または別居している

⑩家庭内に犯罪行為があった(例:刑務所へ送られた家族がいた)

 

【参考書籍】
ナディン・バーク・ハリス(著),片桐恵理子(翻訳)(2019). 小児期トラウマと闘うツール──進化・浸透するACE対策 パンローリング株式会社

 

※注記

質問紙の10の質問をそのまま掲載しようかと考えましたが、これまでにクライエントさんに記入してもらった際、強い感情的苦痛に襲われた方や当時の記憶がフラッシュバックした方などもおられましたので、支援機関等の利用がない方にとってはリスクが高いと判断し、掲載は見送りました。

 

 

ちなみにACE研究のデータでは、質問紙の答えが4点(「はい」が4つ)以上の人たちは、学習や行動に問題が生じる可能性が人より32倍高く、6点以上の人たちは、ゼロの人より寿命が20年短いと示されています。

 

クライアントさんたちにはこの質問紙に答えてもらうことがありますが、4点以上が少数派でなく、6点以上という結果も度々です。生育歴と照らし合わせればそうだろうなと予測はできていても、それでもやはりとても悲しい結果です。

 

 

ACE研究で言及されていないトラウマ体験

別の書籍には次のような体験も早期トラウマになると述べてありました。

 

●きょうだいが虐待を受けるのを目撃した

●家と呼べるような居場所がない、あるいは実際にホームレスだった

●深刻な事故を経験した

●一方の親がもう一方の親を虐待したり、祖父母が親を虐待するのを目撃した

●低体重児として産まれたため出産直後に親から引き離された

●早期の外科手術、入院、その他の医療トラウマを体験した

●養子に出された

 

【参考書籍】
キャシー・L・ケイン(著), ステファン・J・テレール(著),花丘 ちぐさ(翻訳), 浅井 咲子 (翻訳)(2019). レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒 岩崎学術出版社

 

実際の相談場面で聴く内容には、ここに挙げたものにも含まれていない体験がトラウマ化しているものもあります。

いじめ体験、軽快しない難病、不安定な大人たちに囲まれた環境etc.といったものもその一例かもしれません。

 

したがって一概にこういったリストに当てはまるかどうかだけでは計り知れない…ということは付け加えておきたいところです。

 

 

毒親の背景にあるACEの可能性

機能不全家族、毒親といった環境で育った方たちは、子ども時代に大なり小なりACEという名の逆境体験があったことでしょう。

 

そこで傷つき、生きづらさを抱えたある方が、その影響が残ったまま子育てする親になったとき、絶対にしたくなくても「うちの毒親」と同じことをしてしまうケースは決して少なくありません。

 

第三者が目に見える部分だけで判断してしまえば、、、

「人としてひどい」

「自分がされて傷ついたことをするなんておかしい」

「親失格・人間失格」

 

そんなスティグマ(烙印)を押してしまうことも理解できます。

事実私も昔はずっとそう思っていました。

 

しかしこの仕事を続けてきて初めて分かったことがあります。

それは、わが子に虐待もしくはそれに類するような不適切養育をしている親の中に、「どうにかしてやめたい!」「絶対に変えたい!」と願っている人がいるということです。

 

そういった方がたは概してこういったプロセスを歩みます。

 

「子ども時代の影響で生きにくくなっていたんだ」と気づき

「自分の子どもには同じ思いを味わせたくない!」と決意し

「そのためにも自分をまずどうにかしなきゃ!」と取り組み

そのプロセスを経てわが子と「よい関係」を結び直していく

 

メディアで度々流される、虐待に関する「行為だけを切り取った情報」に触れ続けていると、「子どもを傷つける親」=「傷つけても平気なひどい人間」というイメージが思い浮かぶかもしれません。

 

そういった親も中にはいるのかもしれませんが、その一方で、そうではない親も少なからずいるんだよ、ということが知られていないことはとても残念です。

 

 

ACEによる最大の影響

ただだからといって相談に来られた方たちがすぐさま子どもへの関わりを健康的なものにシフトできるかというと、そう簡単ではないのも事実です。

 

そこに大きな理由があります。

それこそがACEが招く最大の負の影響です。

これは第三者どころか当の本人すら気づいていません。

 

ACEの最大の影響とは

*神経系の発達が阻害されたこと

 

頭ではいくら「良くない」と思っても、思考よりもずっと速いスピードで神経は瞬時にはたらきます。その結果行動は反応的(反射的と言ってもいいレベル)になります。

 

これは誰にも避けることができない“神経の反応”です。

 

たとえば、わが子が大声で泣き喚いている。

怒鳴ったってしょうがない、叩いたってしょうがない。

そんなこと言われなくても“頭では”嫌というほど分かっていても、それができないんです。

 

そこにその親自身が幼少期に受けたACEが関わっていることがあるのです。

 

子どもの神経系の発達がACEによって阻害されると、“穏やかさ”や“心地よさ”に留まるための神経システムがうまく育ちません。

 

その結果、本来は目の前の“脅威”から身を守るための神経システムである

*闘うか逃げるかモード

“脅威がない場”でも起動してしまうようになります。

 

この闘争逃走反応は言わば「獣モード」です。

 

目の前の脅威を

①闘って追い払う

もしくは

②逃げて安全を確保する

のいずれかを脳が選択する自動調整モードです。

 

このとき思考は機能していません。

なぜなら脳は「危険!」「脅威!」と認識しているのですから、考えるなんてことをやっていたら生き延びることができません。

サバイバルするために、脳は敢えて「思考を使わない」と自動選択するのです。

 

ACEによって神経系の発達が阻害された親であれば

・わが子の泣き声、駄々こね、反抗といったありよう

・思うようにならない子育てで高まるストレス

こういったことで瞬時に神経が覚醒してしまうことは少なくないでしょう。

 

つまり「闘うか逃げるかモード」に切り替わるのです。

 

そうなると思考は機能しなくなり

①闘って脅威を追い払う(怒りを感じています)

②脅威から逃げる(恐れを感じています)

という反応が瞬時に起こるわけです。

 

もちろん、子どもの訴えは脅威ではないのですが、神経がまるで脅威が目の前にあるかのように反応してしまうのです。

 

 

とどまらない負の影響

神経の覚醒しやすさ(そしてそれをなだめることの困難さ)はさらにほかの影響へと派生していきます。

 

⚫︎過剰な脅威の感じやすさ

⚫︎慢性的な疲労感

⚫︎原因不明の身体症状

⚫︎人間関係の距離感の困難さ

⚫︎自滅的・他罰的な考え方の癖

⚫︎感情的な動揺のしやすさ

⚫︎行動が選択ではなく反応

⚫︎自己鎮静化の手段(例:アルコール、過食)による副作用

…などを始めほかにも多岐にわたります。

 

自分を落ち着かせてくれる神経システムの発達が阻害されたことによってこれだけの影響が出ることに驚きます。

こんな状態であれば誰だって生きづらくないはずがありません。

 

 

ACEという視点から観る負の連鎖の仕組み

ACEというメガネで「世代間にわたる負の連鎖」を眺めてみると、次のような流れによって断ち切られることなく悪循環しつづけていることがうかがえます。

 

●幼少期に度々ACEに晒される

●“穏やかさ”をもたらす神経系の発達が阻害される

●「闘うか逃げるかモードの起動しやすさ」と「それを鎮めることの困難さ」を併せ持つ

●いずれ親になる

●子どもの“訴え”というネガティブ反応に刺激を受けると瞬時に「闘うか逃げるかモード」が起動する

●神経の覚醒を鎮めたいがそれが自分でできない

●鎮めるために「したくなくても」子どもに望ましくない関わりをする

●子どもにとってはそれがACE(逆境体験)となる

●その子も神経系の発達が阻害される

●その子もいずれ親になる

…世代間にわたってこの悪循環が延々と連鎖しつづける。。。

 

この不幸な連鎖を断ち切るための智恵をずっと求めてきました。

 

 

連鎖を断ち切る

それにようやく辿り着けたと最近は感じています。

 

この連鎖を断ち切るには、、、

①親自身がACEに影響をうけてきたことに気づき

②その影響を取り除く(緩和する)ことに取り組み

③それを土台にわが子へのかかわりを適切なものに変えていく

 

特に気になるのは②に当たるものが何か、ではないかと思います。

トラウマへのアプローチでは次の2つの視点が重要と言われます。

 

【社会的関与】

これはトップダウンアプローチなどと言いますが、一言でいえば「安全な人」とつながることです。

相談者の多くが強い対人緊張に困っていますが、その中にはパートナーが安全基地になっている人もいて、わが家で「落ち着いて」「いい感じ」で過ごせているだけでなく、徐々に人への緊張が和らぐようになっている人もいるんです。

 

【身体の緊張の緩和】

こちらはボトムアップアプローチと言いまして、たとえば呼吸法、タッチング、マインドフルネス、ヨガなどをつかって身体の緊張を和らげていくことです。もちろんその人の現状に即して工夫する必要はありますが、こういった方法はいずれも

*自分を落ち着かせる神経システムの再養育

*興奮した原始的な脳を落ち着かせる試み

と言えるものです。

 

まず親がここに取り組み、

変化した自分で子どもに関わる。

 

これこそ“世代にわたる有害なストレスのサイクル”を断ち切る術であり、子どもたちにとっての最大幸福につながる道であろうと心の底からそう信じています。

(もちろん現時点では、ですが)

 

親である私たちがまず心に平安を取り戻す。

その自分で子どもとつながっていく。

 

志ある親御さんたちがいつでも気軽こういったことに取り組むことができる、そんな仕組みと場を死ぬまでに作り上げたいと決意しておる次第です。

 

しかしこれはひとりでは到底成し遂げられませんので、同時並行的に仲間づくりも切望している最近でございます。

 

 

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