こんにちは。親子関係の悩み専門カウンセラーの高澤です。
今日のテーマは【怒り】の取り扱いです。
いろんな怒り
コロナの影響もあってか、最近はより一層「炎上」「誹謗中傷」なんて言葉を見聞きします。怒りが渦巻いている感じがしてしんどいです。
とは言え誰しも生きていればいろんな怒りを感じることもあるかと思います。
子育ての怒りだと「子どもが言うこと聞かない!」「夫が子育て協力してくれない!」だったり。
職場の怒りだと「上司の物言いが偉そう!」「同僚がちゃんと仕事しない!」だったり。
車の運転中であれば「後続車が車間距離詰めてきて危ない!」だったり、買い物中であれば「店員の愛想が悪い!」だったり。
いろんな所で人は怒りを感じますが、怒りは感情的な疲労を増やしますし、理性を妨げますし、行動に移せば人間関係を危うくしますし。
望ましくない結末を招くことも多いのではないでしょうか。
あなたはいかがですか?
私ごとですが
私はイライラなんてしません!
と言いたいところですが、なかなか、まだまだ、ぜんぜんです。怒りが湧くこと度々です…。
息子が口ごたえするたびにカチン!
車で割り込まれるたびにイラッ!
同業者の尻拭いが回ってきてはムカッ!
今では消化できるようになったから支障はないのですが、怒り撲滅なんてものは遥か海の向こうレベルです。
怒りの仕組み
そもそも怒りとは何者でしょうか。
公式に表すとこんな感じです。
[相手への期待ー現実=怒り]
私たちは他者に対して「ああしろ!こうしろ!」「あれするな!これするな!」という無意識の期待(勝手な理想)を持っています。
しかし相手は自分の期待通りにそうそうなってくれません。
すると期待と現実にギャップが生まれます。ちなみに「問題」の定義は<理想と現実のギャップ>です。
その時の感情が怒りなのです。
たとえばこんな事例があったとします。
「子どもが自分の言うことをきかないから、
その度にすごく腹が立って怒鳴ってしまうんです」
これを図で表すとこんな感じです。
【期待】「私の言うことをきけ!」
space▲
(ギャップ)→【感情】怒り→【行動】怒りを使って怒鳴る
space▼
【現実】子どもが言うことをきかない
怒りは何のための感情か。
それは相手を自分の期待通りに変えるため。
つまり、怒りある時にはいつも「コントロール欲求」が潜んでいるのです。
したがって怒りを感じやすい人は
*相手をコントロールしたがる人
なのです。
怒り対策
ひとまずこれで怒りの仕組みは理解できたことと思います。
しかし、仕組みが理解できたからといって怒りが消えるわけではありませんね。そこには対処策が必要です。
ということでこんな対処はいかがでしょうか。
【短期的対策】
怒りに気づいたら
*その場を離れる
*深呼吸をする
*視覚の実況中継(※)
(※)視覚の実況中継とは、とにかく目についたものの名前を片っ端から声に出すことです。ちょっとやってみますね。
(今、周りを見回しています)→「ガラス、ドア、エアコン、ホワイトボード、電気、椅子、机、テーブル、木、屋根、旗、コンセント、ブラインド、換気扇、、、」
とにかく目についたものの名前を「素早く」「声に出す」です。
こういった短期的な対処策はその場では役に立ちます。ですがそれだけでは怒りの出やすさはあまり変わりませんので、根本的な対処も必要になります。
ということでこういうのはいかがでしょうか。
【根本的な対処策】
①怒りは自分の「コントロールしたい!」が原因であると受け入れる
↓
②(短期的対策で落ち着いたら)相手への期待を正直に書き出す
例)「黙って言うことをきけ!」「私が嫌がることを絶対にしないで!」「いつも愛想よくしろ!」「言わなくても私の気持ちを全部理解して!」など
↓
③求めの過剰さを理性的・現実的に検討する
↓
④上記①~③を繰り返す
障害要因
怒りへの対処。
しつこいようですが、もう一度だけおさらいします。
「怒ってしまう自分」をどうにかしたいなら、、、
①怒りは相手ではなく「自分のコントロール欲求」によって湧いていることを認める
②怒りを感じたらとりあえず短期的対処でしのぐ
③落ち着いたら根本的な対処をおこなう
④それを繰り返す
これだけです。
簡単です。
大したことないです。
読んでいるうちはそう思えるのですが、これ、実際にやるとかなり難しい。何より難しいのは①の怒りの出所は相手ではなく自分だと認める部分です。
なぜなら、人は怒りを感じているときには例外なく「自分は正しい」「相手が間違っている」と頑なに信じているからです。
そこからすると①はこれと正反対。これを受け容れるのはとても難しいことなのです。
じゃあどうするか。
それは、自分の怒りについて安全に話し合える相手を見つけることです。
自分の怒り、あるいはその怒りによって引き起こした行動などをありのままに打ち明けても決して批判も否定もされず、一緒に探索してくれる安全な相手が必要です。
そういった安全基地の手を借りながら、恐れることなく怒りを探索していくことによって、それが「自分の課題」であることを徐々に受け容れることができます。
それだけでなく、この怒りの奥底に隠れていた本物の感情に気づくこともできます。
ここまでくれば、先の②以降に取り組むことはそんなに難しいことじゃなくなりますよ。
怒りは心の内側を焼き尽くす業火と言います。
どうかあなたの内側が業火で焼き尽くされることなく、むしろ穏やかになっていくことを心から願っています。