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「コロナ虐待の理由とは」。子育てのイライラ?ストレス?

「コロナ虐待の理由とは」。子育てのイライラ?ストレス?

 

【記事を書いた人】

カウンセリングオフィス トリフォリ 高澤信也

福岡で子育てと生きづらさ克服をお手伝いしています。公認心理師。

 

「コロナ虐待の理由とは」。子育てのイライラ?ストレス?


 

コロナ禍収束の見通しがいまだ見えない現状の中、「コロナ虐待」「コロナDV」なんて言葉を見聞きすることが増えています。なんとも悲しいことです。

 

相談場面においても、子どもが家にいる時間が増えたことにより

「イライラが増えました」

「ストレスでいっぱいいっぱいです」

なんて言葉もよくお聞きします。

 

残念ながらなかには怒鳴ったり叩いたり、といったことも現実に起こっています。

ではコロナと虐待。いったいどんな関係があるのでしょうか。

 

虐待増加の環境的要因

2020年5月1日の毎日新聞に、次の要素が虐待の増加につながっているのではないかという記事がありました。

 

●(5月時点では)一斉休校による【見守り機能】が少なくなったこと
コロナがなかったころであれば、幼稚園や保育園、学校、学童など、第三者の目が存在していました。しかしそれが途絶えた結果、抑止が困難になった、ということなのでしょう。

 

● 子どもが家にいる時間増加の影響
「虐待リスクが高い」と認知している家庭の保護者が「子どもがずっと家にいてイライラしてしまう。手をあげそうになるので預かってほしい」と訴えるケースが相次いでいるという記述もありました。

 

確かにこれは相談者の方からも度々お聞きした訴えです。

 

 

 

心理的要因

確かに上記のような環境的な要因も大きく影響していると思います。

しかしその一方で、子どもと過ごす時間が増えたことで「かえって親子関係がよくなった」「子どものことがよくわかった」といった言葉を聞かせてもらうことがあります。

 

したがってコロナ虐待には「環境的要因」だけではなく、「心理的要因」も大きく影響していることが考えられます。

 

ではここで実際の相談者の方々や、子育て支援の現場でお聞きした生の声をご紹介します。

(本人特定できないよう多少加工しています)

 

●「子どもと昼は一緒にいなくてよかったからなんとかなっていただけ。それが今は長いこと一緒にいないといけない。イライラが募ってしょうがないんです。よくないとわかっていても、この前は叩いてしまいました。でも結局そんな自分が嫌でたまりません…」

 

●「とにかく子どもがずっと家にいるのが嫌なんです。学校が早く始まってくれないともちません。毎日怒鳴ってばっかりでうんざりです!」

 

いずれも「コロナだから」怒鳴ったり叩いたり、というわけではなく、そもそも自分でストレス(ここでは共にイライラ)を緩和することが難しかったことに起因しているようです

 

 

 

わかりにくい心理的要因

「子育てのストレス」と言えばすぐに<怒り><イライラ>という言葉がくっついていきます。先の事例もそうでした。

 

確かにイライラや不満による怒りの影響は大きいと思います。しかし、本人ですら気づいていない、怒りではない心理的要因も大きく影響していると感じています。それは、、、

 

不安(恐れ)

 

先の事例のお二人だけでなく、ほかの親御さんから話をうかがっても、並々ならぬ不安の強さを感じることが結構ありました。

 

「感染したらどうしよう」

「逆に自分がうつしてしまったらどうしよう」

「コロナに感染して死んじゃったらどうしよう」

 

「コロナが終息しなかったらどうしよう」

「ずっと今の状態(子どもと長時間過ごす)が続くの?」

「そうなったらもっとひどいことをしてしまいそう」

 

「今の状態が続けば(経済的な)暮らしが行き詰まる」

「そうなったらどうして生きていけばいいの?」

「自分にはどうにもできない…」

etc.

 

不安は私たちをひどく脅かします。

すると感情的な「怖い」が強まります。

すると理性は機能しなくなります。

すると「とにかく怖いものを避けたい!」が強まります。

しかし怖いの大元の「コロナ」はなくなってくれません。

行き場のない「怖い」は親の心の余裕を奪い、ストレスフルな状態に追い込みます。

もしそんなときに子どもが家で騒いでいたら?

なんやかやとうるさく訴えてきたら?

してほしくないことをやめてくれなかったら?

 

望ましくないと「頭」ではわかっていても、「感情(しかも恐れ)」がそれを上回ってしまえば、心の余裕をなくしてしまうことは実は誰にでも起こりうることです。

 

それが子どもを怒鳴ったり叩いたり…という行動に転化されれば「コロナ虐待」に。

それがパートナーに向けば「コロナDV」に。

それが職場の誰かに向けば「モラハラ」に。

 

大小の違いはあれど、余裕を失ったとき人は誰しも過ちを犯す可能性が高いのです。

 

 

 

コロナ虐待を減らすために

でもだからといって、子どもが虐げられることを「しょうがない」というわけにはいきませんよね。

 

コロナ虐待を減らす、あるいは起こさないためには、親が「心の余裕」をもつことが欠かせないと考えています。

 

そのためにもとにかく当事者(親)は、、、

★孤立しないこと

 

孤立は心の余裕を根底から奪い去ります。落ち着いて過ごせる居場所や味方(=安全基地)はとても大切なのです。

 

但しそこには注意点があります。

 

人は100%完全に自分を理解(同意、同調)してくれる人を求めがちですが、そんな人は存在しません。

 

知らず知らずそれを求め続けると、ほとんどの人は「理解してくれない人」、つまり味方ではない人に分類されてしまいます。

 

したがって“ある程度”理解してくれている、“ほどほど”に信頼できる人(居場所)複数とつながる。これが安全基地を保つコツです。

 

仕事のことは同期のAさんに。家族の悩みはカウンセラーのBさんに。子どものことはママ友のCさんに。

ポイントは「質より量」です。

 

 

 

周囲の方へのお願い

前段の内容は本人の自助努力に関することでした。しかし自力だけで(コロナ)虐待をやめる、減らすといったことはかなり難しいでしょう。

 

そこでお願いがあります。

もしあなたの近しい人が子どもに不適切なかかわりをしているなら、「良くない」「やめさせなきゃ」とジャッジするのではなく、その親御さんの行動の背景にある「意図」を聴いてみてほしいのです。

 

そこにフォーカスを当て続ければ、きっとそれなりに理解できるものが出てくるはずですから。

 

つい先日もコロナで家にずっといる子どもをしつこく怒鳴ってしまった…と訴えたハナコさん(仮名)との間でこんな感じの対話がありました。

 

「怒鳴りたくなかったんですよね?」

「はい」

「じゃあなんか目的があったと思います。そのときは“何のため”に怒鳴ったの?」

「子どもを静かにさせたくて」

(それはなんのため?)

「イライラを鎮めたかったんです」

(それはなんのため?)

「もう怒鳴ったり叩いたりしたくないんです」

(それはなんのため?)

「これ以上自分を『ダメな親』と思いたくないんです」

 

ここまでの対話でわかったことは、、、

・ハナコさんには「自己肯定感」が必要だったということ

・その手段として子どもを静かにさせるが選ばれていたこと

・しかしそうならず、子どもを怒鳴る・叩くという反応を選択したということ

・それがかえって自己肯定感を低下させるという結果を招いたこと

 

ハナコさんに必要だったものは

「私は私であっていい」

と自己肯定感が育つようなかかわりだったわけです。

 

そうとわかれば周りの人間にはできることがあります。

行動自体は「良くない」と見ても全然OKです。ただそのとき、ハナコさん「自体」にはマルを出し続けること。ここが大切になってきます。

 

でもこれ、「言うは易し。行うは難し」ですよね。

であればこれだけは知っておいてほしいと願っています。

 

今は孤立し、わが子に不適切なかかわりをする親の中には、それをやめたいのにやめられなくて苦しんでいる親御さんもいるということだけを。

 

そんな方たちに必要なのは「たったひとりの味方」です。

あなたがそのひとりになってくだされば幸いです。

 

 

 

さいごに

コロナであろうがなかろうが、子どもへの虐待は決して望ましくありません。

 

その時だけでなく、先々の人生まで子どもたちに「生きづらさ」という甚大な影響を残す可能性が高いからです。

 

だからこそ親の私たちに必要なことは

孤立せずにつながること

 

その先では

自力で自分の心を落ち着かせられるようになること

(可能なら子育ての原理原則を学ぶことも)

 

周りの方々にお願いしたいことは

不適切養育という「行動」ではなくその「背景」に目を向けること

不安や苛立ちという感情を共有できる場になること

 

その結果

自力とつながりを通じて親が元気と勇気をもてる

 

それが子どもの明るい未来を築きます。

 

たとえ世の中がどんな状態であっても、子どもたちの笑顔あふれる世界の訪れを願ってやみません。

 

 

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